先日、東京ビックサイトで開催された知財・情報フェア&コンファレンスに行ってきました。毎年開かれる知財関連のイベントとしては国内最大級の見本市です。やはり注目だったのは生成AI関連の多さ。数年前はIPランドスケープ等のキーワードをよく聞いたのですが今年はあまり聞かなかったように思えます。ChatGPT、Claude、Gemini…生成AIの本体は米国の企業の独壇場で、国内の企業が追いつけるはずもなく、生成AIを応用した製品に留まっています。その製品でさえ、汎用生成AIの登場で同じ処理が可能になるとも言われており、国内の製品開発の存在意義が危ぶまれています。海外の巨大IT企業にまるで税金のように国内の富が吸い上げられる未来。或るブースの講演者が言っていた言葉、「それでも走り続けるしかない」というのが印象的でした。
吾妻小富士
ここに来ると、いつも違う惑星に来たような気分に浸れる。上記画像は、まるで巨大なクレーターのようですが噴火口です。吾妻小富士と呼ばれる福島県の福島市にある山です。先日、この吾妻小富士に登ってきました。登山と言っても吾妻小富士は山頂近くの浄土平まで車で行くことができ、階段が山頂まで続いているので気軽に登れます。私が登った日も天気が良く、サンダル履きの人や小さなお子様も登っていました。特にこれから紅葉シーズンに入ると、観光客でごった返します。浄土平まで続く山岳道路の磐梯吾妻スカイラインからの眺めも絶景です。ドライブやツーリングにはもってこいの場所です。吾妻小富士は、いかにも火山という噴火口を有していますが、有史以来、噴火した記録はありません。しかし、すぐ隣の一切経山は今も火山性ガスを噴出している活火山です。訪れるときにはご注意を。この吾妻小富士は、福島市内からも見ることができ、市内の人達は多かれ少なかれこの山の存在を意識しながら生活していると思います。私も子供の頃から吾妻小富士を意識していましたが、今回初めて気づいたことがありました。てっきり市内から上記画像の火口が見えているものだと思っていました。ところがこの火口は市内とは逆方向に向けて傾いて開口しているので、市内からこの火口は見えません。吾妻小富士の山頂近くの模様(地形)が火口のように見えていただけだと言うことが分かりました。昔から見ている山なのに今迄気付かなかったとは。下記画像は、福島県の中央を南北に流れる阿武隈川です。福島県を代表する川です。この川も地元に密着した川で、地元の人達は阿武隈川の東か西かでだいたいの地理を把握していると思います。ちなみに今月は福島県内を回っておりました。様々な企業や先生の皆様にお会いすることができました。ご対応して頂きありがとうございました。特に奥州の重鎮たる先生にお会いしたときは恐縮しました。マスターヨーダに初めて会ったときのスカイウォーカーの気持ちがよくわかる。また皆様にお会いしに行きますのでそのときはよろしくお願いします。
法改正情報
令和8年4月1日施行 著作権法の一部を改正する法律(令和五年法律第三十三号)
「著作権者不明等の場合の裁定制度」というものがあります。利用したい著作物があるときにその著作権者の所在が不明な場合があります。そのような場合に文化庁長官の裁定を受けることで著作物の利用ができるという制度です。但し、補償金の供託が必要です。従来からこの制度はありましたが、さらに利用し易いものになります。・未管理公表著作物等の利用(改正後の著作権法第67条の3)
インタ―ネット等の発展により、プロの作家ではなく、一般の方が創作した著作物が広く配布される事例が増加しております。これらの著作物の中には、著作権者が不明、または著作権の所在が特定し難い場合があります。そのような場合、著作権者と連絡がとれず、円滑な利用ができないことが課題でありました。そこで、このような著作物について、適法な利用を促し、それにより発生した対価を著作権者に還元するために、新たな裁定制度が創設されます。本制度は、集中管理がされておらず著作権者の意思が明確でない著作物(未管理公表著作物等)について、文化庁長官の裁定を受け、補償金を支払うことで、その著作物の利用が可能となるものです。従来の裁定制度と違う点は、3年を上限とする時限的な制限がある点、著作権者が現われた場合、その著作権者は裁定の取り消しを請求することができる点です。3年を経過した後は再度申請することで更新が可能です。また、従来の裁定制度では一度裁定を受けることができれば、その著作物をずっと利用し続けることできましたが、新制度では著作権者が現われた場合、その著作権者により利用の停止を求められるかもしれないことになります。著作権者が現われたならば、その著作権者とライセンス交渉等ができるだろうから、著作権者の権利保護を優先したものと思われます。裁定制度により著作物を利用する者は、その点の注意が必要かもしれません。・指定補償金管理機関及び登録確認機関(改正後の著作権法第104条の18,第104条の33)
裁定制度を利用する者は、これまでは文化庁に直接手続きをとっていました。しかし、法改正後は、文化庁長官による指定・登録を受けた民間機関が窓口となり、この民間機関を介して文化庁に申請をすることになります。手続の簡素化・迅速化を実現する趣旨のようです。指定補償金管理機関及び登録確認機関の2つの機関が設けられます。裁定制度の利用者が支払った補償金は、指定補償金管理機関に預けられます。裁定後に著作権者が現れた場合、指定補償金管理機関は、預けられた補償金を著作権者に支払います。利用したい著作物について、その利用の可否に関する著作権者の意思が確認できない場合、まずは登録確認機関に新たな裁定の申請を行います。申請を受け付けた登録確認機関は、その申請について要件の確認や使用料算出の事務を行い、文化庁に取り次ぎます。現行法の「一般社団法人図書館等公衆送信補償金管理協会(SARLIB)」のような機関が設立されるようです。指定補償金管理機関は「全国を通じて一個に限り」と規定されているのに対し、登録確認機関はそのように規定されていないので、複数個設立されるようです。神岡城,旧松葉家そして仁丹
ハイパーカミオカンデのお話の続き。地下空洞を見た後に地上に戻り山を見上げるとお城があるではないか!こんな飛騨の山奥にお城なんてあるんだ!と早速行ってみると神岡城というらしい。外見はとても古そうに見えたのだけど、実際は昭和45年に再建されたもの。内部は神岡町の歴史を紹介する展示館になっていました。
天守閣から見下ろす神岡町の風景は絶景でした。神岡町は中央に川が流れていますが、湧き水も豊富らしく、町を歩いていると側溝に相当な量の水が流れている。側溝に落ちたら溺れるんじゃないかと思えるくらいの水量。こんな山奥でも水には困らない町なんだろうな。
こちらは神岡城の隣に展示されている旧松葉家の内部。明治元年頃に建築された民家がそのまま展示されていました。初めて来たのにそんな気がしないのは昔の典型的な日本家屋の面影を残しているからだろう。1階は生活空間、屋根裏に相当する2階と3階は養蚕部屋だったらしい。私が子供の頃、祖母の家にも養蚕部屋がありました。部屋いっぱいにクワの葉が敷き詰められ、大量の蚕様がうねうねと動いている様子を今でも記憶しています。子供の頃は虫が平気だったので気持ち悪いとは思わなかったけど、今見たらだめかもしれない。
これは仁丹の自動販売機。旧松葉家で使っていたわけではないだろうから、たぶん展示場所としてここを使っているのだろう。正面側の上部に硬貨の投入口があり、正面側の下部に仁丹が出て来る穴が開いている。注目すべきは正面側の中央部の2つの穴。硬貨を投入してこの穴を覗くと風景の写真が何枚か見れたらしい。未だ写真が珍しかった時代。仁丹という商品を売るのに写真というメディアの提供をミックスさせている。写真見たさに仁丹を買った人も居たであろう。しかも仁丹の販売当初の明治30年代にこの自動販売機があったというから驚き。決して生活必需品ではない仁丹という商品をどうやって売ろうか、当時の仁丹の販売会社の意気込みが感じられる。百年続く企業になるわけだ。
ハイパーカミオカンデ
先日、ハイパーカミオカンデの建設現場を見てきました。ハイパーカミオカンデ自体は未だ設置されておらず、設置のための巨大な地下空洞を見てきました。ハイパーカミオカンデとは岐阜県飛騨市神岡町の山の中、地下600mに建設される天文台です。地下にあるのに天文台?!と思われるかもしれませんが、難しい話は抜きにして、この空洞に巨大な水槽が建設されます。この空洞が見られるのは今だけらしい。地下600mと言っても垂直に600m下るわけではなく、山の中腹から水平方向にバスで2kmほど移動して山の中心部に辿り着きました。地下と思えないほどの巨大な空洞。巨大すぎて距離感が鈍る。上記画像は空洞の底部を上部から見下ろした状態。下記画像は空洞の天井を底部から見上げた状態。天井にひび割れみたいなものが見えますが、ひび割れているわけではなく、岩盤の状態を検知するセンサの配線です。崩れてくるのじゃないかと心配していたけど、そんな心配無用のようでした。空洞の直径は68m、高さは72m。現在の技術で地下に建設できる空洞の大きさはこれが限界らしい。でもいつかはその限界を超える日も来るんだろうな。